日本育種学会学会賞・特別賞


ゲノム研究の展開を目的とした「イネ・ゲノム」プロジェクト研究が1991年に開 始され、その中で、イネゲノム塩基配列、遺伝情報の高精度解読が2002年末に終了 するめどがたった。本研究は、作物の高精度遺伝情報解読に世界で初めて成功するとい う画期的なものであり、かつ本グループが中心となり10か国の国際連携により達成さ れる国際性と透明性が高い極めて稀な快挙であると云えよう。 本研究は、農業生物資源研究所と農林水産先端技術研究所の多人数にわたる研究者が 10年を超えて遂行した結果であり、主な研究として、1)高密度遺伝子連鎖地図 の構築、2)YACなどを用いた物理地図の構築、3)発現遺伝子地図の構築、4)イネ 染色体全塩基配列の解読をめざす研究成果などがある。 このような長期・大型研究の成果を特定の個人を対象とした業績として評価するこ とは困難である。また、本研究のような科学研究の歴史を刻む成果については、受賞の タイミングがあると思われる。日本育種学会が、本成果を育種学に密接な世界的業績と していち早く認知することが、育種学の発展にとって重要であると考え、本業績を運営 内規にない特別賞として推薦する。

平成14年9月9日
日本育種学会
会長 佐野芳雄




イネゲノム全塩基配列の高精度概要が国際コンソーシアムの努力により、2002年末に公開されました。わが国は国際コンソーシアムの中心的役割を果たしており、6本の染色体の解読を担当し、解読した配列は全体の55%に相当しています。わが国で実際に解読を担当しているのは生物研ゲノム研究グループ植物ゲノム研究チームとSTAFF研究所研究第1部です。解読成果の発表はインターネットを利用すると同時に日本育種学会の春秋の講演会で逐次行ってきました。その努力が認められ、グループとしてこの度標記学会賞・特別賞を受賞しました。グループは現在約50人で構成されていますが、過去に在籍し貢献した方々の延べ人数は80人近くになります。高精度ゲノム塩基配列の獲得にはいかに多くの人材が必要か、この数字が如実に示しています。このように大規模な資金を投入してでもイネゲノム全塩基配列解読を行うことの意義は、いうまでもなくイネの全遺伝情報を入手し、イネのすべての遺伝子機能を明らかにし、重要な食料資源としてのコメの安定生産と新たな産業創出を図ることにあります。この受賞を励みとして、2年後の完全解読終了にむけて一層努力していきたいと思います。関係者のみなさんに深く感謝いたします。(ゲノム研究グループ長 佐々木卓治)





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last updated 2004.11.12